HSS(High Sensation Seeking/刺激追求型)とは、新しい体験や変化、ワクワクする刺激を自分から求める傾向が強い気質のことです。心理学者マーヴィン・ズッカーマンが研究した「刺激追求性(センセーション・シーキング)」という性格特性がもとになっています。
「新しいことにすぐ飛びつく」「同じ毎日だと息がつまる」「でも、繊細で疲れやすいとも言われる……」。HSSという言葉を調べている人の多くは、こんな自分の傾向に名前をつけたくて検索しているのではないでしょうか。この記事では、HSSの意味と特徴を整理したうえで、よく混同されるHSS型HSPとの違いまでわかりやすく解説します。
この記事の要点
- HSSは「刺激を求める強さ」を表す気質で、病気や障害ではない
- HSSの人には、好奇心・即行動・飽きやすさなど7つの特徴が多い
- HSSとHSS型HSPの違いは「繊細さ(HSP)」をあわせ持つかどうか
- 「刺激を求める軸」と「刺激を深く受け取る軸」の2つで考えると、自分の傾向を整理しやすい
※HSP・HSS・HSS型HSPは心理学の概念(気質)であり、医学的な診断名ではありません。この記事は自己理解のための情報であり、診断・治療を目的とするものではありません。
繊細男子HSS(刺激追求型)とは|新しさや変化を求める気質
HSSとは、「新しくて、変化に富み、強い刺激や体験」を求め、そのためなら多少のリスクもいとわない傾向のことです。日本では「刺激追求型」「刺激を求める人」とも呼ばれます。
この考え方を研究したのは、アメリカの心理学者マーヴィン・ズッカーマンです。ズッカーマンは1960年代から刺激追求性を測る質問紙「刺激追求尺度(Sensation Seeking Scale)」を開発し、改訂を重ねてきました。最初の尺度は、1964年に学術誌『Journal of Consulting Psychology』で発表されています(出典:Zuckerman ほか, 1964, Development of a sensation-seeking scale)。

刺激追求性は4つの側面で考えられている
ズッカーマンの尺度では、刺激追求性を次の4つの側面(下位尺度)に分けてとらえています。同じHSSでも、どの側面が強いかは人によって違います。
| 側面 | 英語名 | どんな傾向? |
|---|---|---|
| スリル・冒険の追求 | Thrill and Adventure Seeking | スピードや冒険など、ドキドキする体験にひかれる |
| 経験の追求 | Experience Seeking | 旅・音楽・アートなど、新しい感覚や考え方に触れたい |
| 脱抑制 | Disinhibition | にぎやかな集まりなどで、気持ちを解放したい |
| 退屈しやすさ | Boredom Susceptibility | くり返しや変化のない状況に、強い退屈を感じやすい |
「HSS=危ないことが好きな人」と思われがちですが、実際には旅や学び、新しい人との出会いなど「経験」を求めるタイプのHSSも多いのがポイントです。バンジージャンプには興味がなくても、知らない街を歩くのが大好き、という人も立派な刺激追求型です。
HSSは「性格の欠点」ではなく気質のひとつ
刺激追求性は、誰もが多かれ少なかれ持っている性格特性で、その強さに個人差があるものです。研究では、刺激追求性は思春期に高まりやすく、その後は年齢とともに低くなる傾向が報告されています(10〜30歳の935人を対象にした2008年の研究:Steinberg ほか, 2008)。また、SSS(刺激追求尺度)を使った72本の論文をまとめた2013年のメタ分析では、平均すると男性のほうがやや高いものの、「経験の追求」には男女差がほとんど見られませんでした(Cross ほか, 2013)。いずれも平均の話で、個人差のほうがずっと大きいものです。「落ち着きがない」「飽きっぽい」と言われてきた人も、それは刺激を求める気質の表れと考えると、自分を責めずにすむかもしれません。
HSSの特徴7つ|刺激追求型の人に多い傾向
HSSの人に多い特徴は、好奇心が強く、思い立ったらすぐ動き、慣れると退屈しやすいことです。代表的な7つを紹介します。

① 好奇心が強く、新しいものにすぐ興味がわく
新しいお店、知らないジャンルの本、はじめて聞く言葉。HSSの人は、未知のものに出会うと「知りたい」「試したい」という気持ちが自然とわいてきます。情報収集が得意で、話題が豊富な人も多いです。
② 「やってみたい」と思ったら、まず動く
考えるより先に体が動くタイプ。旅行の予約、習い事の申し込み、イベントへの参加など、一歩目のスピードが速いのが特徴です。行動力があると言われる一方で、「もう少し考えてから決めればよかった」と感じることもあります。
③ 慣れてくると、急にワクワクが薄れる
はじめは夢中になれたことも、慣れて新しさがなくなると、急に気持ちがしぼんでしまう。これは意志が弱いからではなく、「新しさ」がエネルギー源になっているからです。趣味が長続きしない、道具だけが増えていく、というのもよくある話です。
④ 変化が好きで、環境を変えたくなる
模様替え、引っ越し、髪型を変える、通勤ルートを変える。生活に変化を入れることで気分がリフレッシュします。逆に、何年も同じ環境が続くと、理由もなくそわそわしてくることがあります。
⑤ 退屈やルーティンが人一倍つらい
待ち時間、単調な作業、毎日同じ会話。ほかの人が平気なことでも、HSSの人には強い「退屈」として感じられやすいです。ズッカーマンの尺度にも「退屈しやすさ」という側面があるように、退屈が苦手なのは、刺激追求性の中心的な特徴のひとつです。
⑥ 多少のリスクより「面白さ」を優先しがち
「失敗するかもしれないけど、面白そうだからやってみよう」と考えやすいのもHSSの特徴です。チャレンジ精神が強みになる一方、勢いで決めて後悔することもあるため、大きな決断の前は少し時間を置くとバランスがとれます。
⑦ 興味が次々に移り、趣味や関心が広い
ひとつのことを深く長く続けるより、いろいろなことを少しずつ楽しむタイプ。多趣味で「何でも知っている人」と思われることもあります。いろいろな経験が、あとで思わぬ形でつながることも少なくありません。
繊細男子HSSとHSS型HSPの違い|「繊細さ」をあわせ持つかどうか
HSSとHSS型HSPのいちばんの違いは、刺激を求める気質(HSS)に加えて、刺激を深く受け取る繊細さ(HSP)もあわせ持っているかどうかです。

HSP(Highly Sensitive Person)は、心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した「感受性が高く、刺激を深く処理する気質」の概念です。アーロン博士の公式サイトでは、HSPの特性を持つ人は人口の20〜30%と説明されています(出典:The Highly Sensitive Person 公式サイト、2026年10月確認。以前の著作では15〜20%とされていました)。そして、HSPの中にも刺激追求性が高い人がいる、という考え方から生まれたのが「HSS型HSP」という呼び方です。
| 比べるポイント | HSS(刺激追求型) | HSS型HSP |
|---|---|---|
| 刺激を求める強さ | 強い | 強い |
| 刺激の受け取り方 | 比較的あっさり受け流せる人が多い | 細かく深く受け取り、疲れやすい |
| よくあるパターン | 刺激を楽しんで、どんどん次へ | 刺激を求めて動いたあと、ぐったりする |
| たとえると | アクセルが中心 | アクセルとブレーキを同時に踏む |
| 悩みやすいこと | 退屈・飽き・勢いでの決断 | 「行きたいのに疲れる」矛盾・自己理解のしづらさ |
HSSとHSPは「別々の特性」
大切なのは、HSSとHSPはそれぞれ独立した特性で、同時に高い人もいるということです。アーロン博士は2023年の公式ブログで、HSPとHSSについて「2つの特性は独立している」と述べ、HSPのおよそ半数は刺激追求性も高いと紹介しています(出典:Highly Sensitive High Sensation Seekers: Giving Equal Love to Both Parts、根拠は214人を対象にしたAcevedo・Aron ほか, 2023)。従来の刺激追求尺度には衝動性やリスクを好む項目が多く含まれていたため、HSPの人は低く出やすかったものの、そうした項目を調整すると関連が見られなかった、とも説明されています。「刺激を求める人は鈍感」「繊細な人は刺激を避ける」とは限らず、両方が高い人は、刺激を求める気持ちと、刺激で疲れやすい感受性の両方を抱えることになります。
この「行きたいのに疲れる」「新しいことがしたいのに、人混みはしんどい」という矛盾こそ、HSS型HSPさんの悩みの中心です。HSS型HSPそのものについては「HSS型HSPとは?特徴・割合・他タイプとの違い」で、矛盾だらけに見える性格については「HSS型HSPの性格|矛盾だらけの8つの特徴」で詳しく解説しています。
HSS型HSPの「アクセルとブレーキ」
HSSだけの人は、刺激を楽しんだあとも比較的すぐ回復しやすい傾向があります。一方、HSS型HSPさんは、刺激を求めて動く「アクセル」と、刺激を受け取りすぎて止まる「ブレーキ」を同時に踏んでいるような状態になりがちです。日常のどんな場面でそれが起きるかは「HSS型HSPはなぜアクセルとブレーキを同時に踏むの?」で紹介しています。
自分がどれに近いかの考え方|2つの軸で整理する
自分がHSSなのか、HSS型HSPなのかを考えるときは、「刺激を求める強さ」と「刺激を受け取る深さ」の2つの軸に分けて考えると整理しやすくなります。

軸1:刺激を求める強さ(HSS)
- 新しい場所や体験に、自分から飛び込みたくなる
- 同じことのくり返しが続くと、強い退屈を感じる
- 「面白そう」が、行動のいちばんの理由になりやすい
軸2:刺激を受け取る深さ(HSP)
- 音・光・においや、人の表情の変化に気づきやすい
- 楽しい予定のあとでも、ひとりになるとどっと疲れる
- 物事を深く考え、あとから何度も思い返してしまう
白黒で決めなくて大丈夫
軸1だけが強ければHSS、軸1と軸2の両方が強ければHSS型HSPに近い傾向がある、と考えられます。ただし、どちらも「ある・ない」ではなく程度の差です。体調や環境によって感じ方が変わることもあります。
名前を当てはめることより、「自分はどんなときに元気になり、どんなときに疲れるのか」を知ることが、いちばん役に立つ自己理解です。人とのつながりで元気になる「外向型HSP(HSE)」や、明るく見えるのに繊細な「隠れ繊細さん」との違いも、あわせて読むと整理しやすくなります。
繊細男子好奇心が強いタイプとして語られるENFPとの関係は、HSS型HSPとENFPは別の概念で整理しています。
よくある質問
Q. HSSは病気や障害ですか?
いいえ。HSSは心理学で研究されている性格特性(気質)のひとつで、病気や障害ではありません。医療機関で診断されるものでもありません。日常生活に強い支障があるほどつらい場合は、気質の問題と決めつけず、医療機関や相談窓口に相談してください。
Q. HSSとHSS型HSPの違いを一言でいうと?
HSSは「刺激を求める気質」、HSS型HSPは「刺激を求める気質と、刺激を深く受け取る繊細さ(HSP)をあわせ持つ人」です。違いは繊細さの有無にあります。
Q. HSSかどうかは診断できますか?
医学的な診断はありません。研究ではズッカーマンの刺激追求尺度などの質問紙が使われていますが、ネット上のセルフチェックはあくまで傾向を知る目安です。結果は「自分を理解するヒント」として受け取りましょう。
Q. HSSの刺激追求性は年齢で変わりますか?
変わることがあります。研究では、刺激追求性は思春期に高まり、その後は年齢とともに下がる傾向が報告されています。ただし平均的な傾向で、大人になっても刺激追求性が高い人はたくさんいます。
自分をHSS型HSPだと語っている著名人の言葉は「HSS型HSPを公表している芸能人・著名人」で紹介しています。
まとめ:HSSは「新しさ」をエネルギーにできる気質
- HSS(刺激追求型)は、新しさや変化、強い刺激を求める気質。ズッカーマンが研究した刺激追求性がもとになっている
- スリル・経験・脱抑制・退屈しやすさの4つの側面があり、どこが強いかは人それぞれ
- 好奇心・即行動・飽きやすさ・変化好き・退屈が苦手・冒険心・多趣味が代表的な特徴
- HSS型HSPは、HSSに「刺激を深く受け取る繊細さ(HSP)」が加わった状態
- 2つの軸で考え、「何で元気になり、何で疲れるか」を知ることが自己理解の近道
刺激を求める気持ちは、新しい世界に飛び込むための大切なエネルギーです。もし「刺激を求めるのに疲れやすい」と感じるなら、あなたはHSS型HSPに近いのかもしれません。HSS型HSPさんの「あるある」をまとめた「HSS型HSPあるある30選」もあわせて読んでみてください。
繊細男子Instagram @hsshsp_ki02 でも発信しています
HSS型HSPさんが「ちょこっと楽になる」ヒントを、Instagramでもスライドで発信しています。共感の声が多い「あるある」もたくさん紹介しているので、よければフォローしてくださいね。
@hsshsp_ki02 をフォローする参考情報(確認日:2026年10月30日)
- Zuckerman M ほか(1964)Development of a sensation-seeking scale:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14242306/
- Zuckerman M, Eysenck S, Eysenck HJ(1978)Sensation seeking in England and America:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/627648/
- Steinberg L ほか(2008)Age differences in sensation seeking and impulsivity:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18999337/
- Cross CP ほか(2013)Sex differences in sensation-seeking: a meta-analysis:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3757272/
- Acevedo BP, Aron EN ほか(2023)Sensory processing sensitivity and its relation to sensation seeking:https://doi.org/10.1016/j.crbeha.2023.100100
- Elaine Aron「Highly Sensitive High Sensation Seekers」(2023):https://hsperson.com/highly-sensitive-high-sensation-seekers-giving-equal-love-to-both-parts/
- Elaine Aron「The Highly Sensitive Person who is also a High Sensation Seeker」(2006):https://hsperson.com/the-highly-sensitive-person-who-is-also-a-high-sensation-seeker/
- The Highly Sensitive Person 公式サイト:https://hsperson.com/
この記事を書いた人
HSS型HSPの生き方・働き方を発信するメディア「HSS型HSPラボ」編集部。「刺激がほしい。でも疲れやすい」気質と上手に付き合うためのヒントを、わかりやすくお届けしています。運営者情報
